『矛盾(むじゅん)』原文・書き下し文・現代語訳

青=現代語訳・下小文字=返り点・上小文字=送り仮名・解説=赤字

 

矛盾=事の前後で筋が通らないこと。つじつまの合わないこと

楚人一レ矛者

楚人に盾(たて)と矛(ほこ)とを鬻(ひさ)ぐ者有り。

※与=と

楚の人に、盾と矛とを売る者がいた。

 

 

メテハク、「吾盾之堅キコト、莫スモノ。」

之を誉めて曰はく、 「吾が盾の堅きこと、能(よ)く陥(とお)すもの莫(な)きなり。」 と。

※之=の、也=なり

「無スル(モノ)」=不可能「Aすることのできるものはない」

商品の盾をほめて、「私のこの盾の頑丈なことといったら、突き通すことができるものはありません」と言った。

 

 

又誉メテハク、「吾矛之利ナルコト、於イテルモノ。」

又其の矛を誉(ほ)めて曰はく、 「吾が矛の利(り)なること、物に於(お)いて陥(とお)さざるもの無きなり。」 と。

※「無ル(ハ)(セ)」=二重否定(強い肯定)「Aしないものはない」

さらにまた、自分の商品の矛をほめて、「私の矛の鋭さといったら、どんなものでも突き通さないものはありません。」と言った。

 

 

ヒトハク、「以子之矛、陥サバ子之盾、何如。」

或(ある)ひと曰はく、 「子の矛を以て、子の盾を陥(とお)さば何如(いかん)。」 と。

※如何(いかん)=「どうなるか・どうであるか」

(それを聞いた)ある人が、「(それならば、)あなたの矛で、あなたの盾を突いたら、どうなるのですか。」と言った。

 

 

人弗フル也。

其の人応(こた)ふる能(あた)はざるなり。

 ※「不(スル)(コト)」=不可能、「Aできない」

その人は返答することができなかった。

 

 『矛盾(むじゅん)』問題