新古今和歌集「玉の緒よ絶えなば絶えね~」解説・品詞分解・現代語訳

「黒=原文」・「赤=解説」「青=現代語訳」
作者:式子内親王(しょくしないしんのう)


玉の緒よ  絶えなば絶えね  ながらへば  忍ぶることの  弱りもぞする

玉の緒=名詞、命

絶え=ヤ行下二動詞「絶ゆ」の連用形、絶える、とだえる、息が絶える、死ぬ

な=完了の助動詞「ぬ」の未然形、接続は連用形。

ば=接続助詞、直前が未然形になっているので、④仮定条件「もし~ならば」である。

ね=完了の助動詞「ぬ」の命令形、接続は連用形

ながらへ=ハ行下二動詞「ながらふ(永らふ)」の未然形。生きながらえる、長生きする

忍ぶる=バ行上二動詞「忍ぶ」の連体形。感情を抑える、隠れる

も=強調の係助詞
ぞ=強調の係助詞、結びは連体形。係り結び
※係り結びの用法:危惧「もぞ」「もこそ」…「~しては大変だ・困る」
(例)「人もこそ聞け」…「人が聞いては困る」

する=サ変動詞「す」の連体形。係助詞「ぞ」を受けて係り結びとなっている。

わが命よ、絶えてしまうのならば絶えてしまえ。生き続けていたら、(秘めている恋心を)じっと耐える力が弱ってしまう。(それでは困る。)

※縁語…ある言葉と意味上の縁のある言葉。ある言葉から連想できる言葉が縁語。
例:「舟」の縁語は「漕ぐ」「沖」「海」「釣」など

この和歌では、「緒」の縁語として「絶え」「ながらへ」「弱り」の3つである。


『新古今和歌集』まとめ