「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳」
作者:源宗于(みなもとのむねゆき)
冬の歌とてよめる
山里は 冬ぞ寂しさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば
ぞ=強調の係助詞、結びは連体形となる。この和歌では倒置法が使われているので、「まさりける」の「ける」が結びとなり、連体形となっている。係り結び
まさり=ラ行四段動詞「まさる(増さる)」の連体形、増える、強まる
ける=詠嘆の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形。係り結び。「けり」は過去の意味で使われることがほとんどだが、①和歌での「けり」②会話文での「けり」③なりけりの「けり」では詠嘆に警戒する必要がある。①はほぼ必ず詠嘆だが、②③は文脈判断
人目=名詞、他人の出入り、人の訪れ、他人の見る目
かれ=掛詞、「離れ(かれ)」と「枯れ」が掛けられている。いずれもラ行下二。掛詞は基本的にひらがなで書かれている。漢字にしてしまうと読み手が一つの意味だけでとらえてしまうから。例外有り。
離る(かる)=ラ行下二、(時間的に)間を置く。足が遠くなる。
ぬ=完了の助動詞「ぬ」の終止形、接続は未然形。「と」の前は句点(。)と鉤括弧が省略されているため、文末扱いとなり終止形となっている。
ば=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして②の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。
山里は(都と違って寂しい場所だが)、特に冬は寂しさがいっそうまさることだよ。訪れる人もなくなり、草も枯れてしまうと思うと。
※掛詞=同音異義を利用して、一つの語に二つ以上の意味を持たせたもの。
掛詞の見つけ方(あくまで参考に、いずれも必ずではありません。)
①ひらがなの部分
②和歌に至るまでの経緯で出て来た単語
③地名などの固有名詞