「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳」
作者:志貴皇子(しきのみこ)
石走(いはばし)る 垂水(たるみ)の上の さわらびの 萌(も)え出(い)づる春に なりにけるかも
石走る(いはばしる)=ラ行四段動詞「石走る」の連体形、水が岩の上を激しく走り流れる
垂水(たるみ)=名詞、滝
さわらび(早蕨)=名詞、芽を出したばかりのワラビ
萌え出づる=ダ行下二段動詞「萌え出づ」の連体形。芽が出る。
なり=ラ行四段動詞「なる(成る)」の連用形
に=完了の助動詞「ぬ」の連用形、接続は連用形
ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形
かも=詠嘆・感動の終助詞、接続は連体形。ここでの意味は「疑問」ではなく「詠嘆・感動」であるので注意。
岩の上を激しく流れて落ちる滝のほとりの蕨(わらび)が、芽を出す春になってしまったことだなあ。