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和泉式部日記『夢よりもはかなき世の中・薫る香に』解説・品詞分解(2)

「黒=原文」・「赤=解説」「青=現代語訳」
原文・現代語訳のみはこちら和泉式部日記『夢よりもはかなき世の中・薫る香に』現代語訳


まだ端におはしまし けるに、この童隠れの方に気色ばみ けるけはひを、御覧じつけて、

おはしまし=サ行四段動詞「おはします」の連用形。「あり」の尊敬語。いらっしゃる、おられる、あおりになる。動作の主体である帥宮を敬っている。敬語を使った作者からの敬意。

ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形。もう一つの「ける」も同じ

気色ばみ=マ行四段動詞「気色ばむ」の連用形、様子が外に現れる、様子ありげだ

御覧じつけ=カ行下二動詞「御覧じつく」の連用形、「見付く」の尊敬語。お見付になる。動作の主体である帥宮を敬っている。敬語を使った作者からの敬意。

(帥宮が)まだ縁先にいらっしゃったが、子の童が物陰で様子ありげなふりをしているのを、(それを帥宮が)お見つけになって、


「いかに。」と問は給ふに、御文(ふみ)をさし出でたれ 御覧じて、

せ=尊敬の助動詞「す」の連用形、接続は未然形。すぐ下に尊敬語が来ていないときは「使役」だが、尊敬語が来ているときは文脈判断。「給ふ」と合わせて二重敬語となっており、動作の主体である帥宮を敬っている。敬語を使った作者からの敬意。

たれ=完了の助動詞「たり」の已然形、接続は連用形

ば=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして②の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。

御覧じ=サ変動詞「御覧ず」の連用形、「見る」の尊敬語。御覧になる。動作の主体である帥宮を敬っている。敬語を使った作者からの敬意。

「どうであったか。」とお尋ねになったので、お手紙を差し出したところ、御覧になって、



同じ枝(え)に  鳴きつつをりし  ほととぎす  声は変わらぬ  ものと知らずや

をり=ラ変動詞「居(を)り」の連用形。

し=過去の助動詞「き」の連体形、接続は連用形

ぬ=打消しの助動詞「ず」の終止形、接続は未然形

や=疑問の係助詞

同じ枝に鳴いていたほととぎすのようなものです。(亡き兄と私の)声は変わらないものと(あなたは)知らないのか。



と書か給ひて、賜(たま)ふとて、

せ=尊敬の助動詞「す」の連用形、接続は未然形。すぐ下に尊敬語が来ていないときは「使役」だが、尊敬語が来ているときは文脈判断。「給ひ」と合わせて二重敬語となっており、動作の主体である帥宮を敬っている。敬語を使った作者からの敬意。

賜ふ=ハ行四段動詞「賜ふ」の終止形、「与ふ」の尊敬語。お与えになる。動作の主体である帥宮を敬っている。作者からの敬意

とお書きになって、(子舎人童に)お与えになる時に、


かかること、ゆめ人に言ふすきがましき やうなり。」とて、入ら 給ひ

斯(か)かる=連体詞、このような、こういう

ゆめ~な=けっして~するな。
ゆめ=副詞、(打消し・禁止の語を下に伴って)決して、必ず、つとめて
な=終助詞、強い禁止を表す。~(する)な

すきがましき=シク活用の形容詞「好きがまし」の連体形、浮気っぽい、好色めいている

やうなり=比況の助動詞「やうなり」の終止形。接続は連体形・格助詞の「の」。ようである

入ら=ラ行四段動詞「入る」の未然形。入る。下二段活用だと「入れる」という意味なので注意。直後に尊敬の助動詞「す」が来ているところから未然形だと分かり、四段活用だと判断できる。

せ=尊敬の助動詞「す」の連用形、接続は未然形。すぐ下に尊敬語が来ていないときは「使役」だが、尊敬語が来ているときは文脈判断。「給ふ」と合わせて二重敬語となっており、動作の主体である帥宮を敬っている。敬語を使った作者からの敬意。

ぬ=完了の助動詞「ぬ」の終止形、接続は連用形

「このようなことを、決して人に言ってはならないよ。好色めいているようだ。」と(帥宮は)言って、お入りになった。


もて来たれば、をかし見れ 、常はとて御返り聞こえさせ 

たれ=完了の助動詞「たり」の已然形、接続は連用形

をかし=シク活用の形容詞「をかし」の終止形、面白い、趣深い、趣がある、風情がある。素晴らしい。こっけいだ、おかしい。カ行四段動詞「招(を)く」が形容詞化したもので「招き寄せたい」という意味が元になっている。

見れ=マ行上一動詞「見る」の已然形。上一段活用の動詞は「{ ひ・い・き・に・み・ゐ } る」

ど=逆接の接続助詞、活用語の已然形に付く。

聞こえさせ=サ行下二動詞「聞こえさす」の未然形、「言ふ」の謙譲語。動作の対象である帥宮を敬っている。作者からの敬意。

ず=打消の助動詞「ず」の終止形、接続は未然形

(子舎人童がその歌を和泉式部のもとへ)持ってきて、面白いと思ったけれど、常に返事をするのはどうかと思って、ご返事は申し上げなかった。


和泉式部日記『夢よりもはかなき世の中・薫る香に』(2)問題

和泉式部日記『夢よりもはかなき世の中・薫る香に』まとめ