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万葉集「防人に行くはたが背と~」解説・品詞分解・現代語訳

「黒=原文」・「赤=解説」「青=現代語訳」
防人歌であるが防人の妻が詠んだ歌である。

防人に  行くはたが背と  問ふ人を  見るがともしさ  物思ひもせず


防人=名詞、防備のため九州の要所に置かれた兵士、期間は三年

「行く/は/た/が/背」=行く人は誰の夫

行く=カ行四段動詞の連体形。連体形となっているのは直後に体言である「人」が省略されているから。「行く(人)」

誰(た)=代名詞、だれ

背(せ)=名詞、夫、親しい男性。「背・兄・夫」はいずれも「せ」と読み、同じ意味である。対義語「妹(いも)」妻、親しい女性。

問ふ=ハ行四段動詞の連体形

見る=マ行上一動詞の連体形

羨しさ(ともしさ)=名詞、うらやましさ、うらやましい気持ち

物思ひ=名詞、思い悩むこと、心配

せ=サ変動詞「す」の未然形。する

ず=打消の助動詞「ず」の連用形、接続は未然形。「ず」以降に文章が省略されているため終止形ではない。

防人に行く人は誰の夫かと尋ねている人を見るのがうらやましいことよ。(その人が)思い悩むこともしないで(尋ねているのは)。

※防人に選ばれると辺境の地に赴くことになり、二度と帰って来られないこともあった。その防人として行く夫を送る妻の言い難い悲しさが表れている歌である。


『万葉集』まとめ