「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳」
東歌=東国の庶民の間で歌われた和歌
多摩川に さらす手作り さらさらに なにぞこの児(こ)の ここだかなしき
さらす(曝す)=サ行四段動詞「さらす」の連体形、布などを洗って白くする、漂白する、水や日に当たるままにしておく
多摩川にさらす(一句・二句)=序詞、「さらさらに」に対して語感良くつなげるために置かれているようなもの。作者の言いたいことは三句以降の部分である。たいてい序詞の最後は「~のように」と訳す。
手作り=名詞、手織りの布、自分の手で作ること
さらさら=副詞、擬声語、さらさら
さらさらに=副詞、さらにさらに、その上、いよいよ
ぞ=強調の係助詞、結び(たいてい文末)は連体形となる。係り結び
ここだ(幾許)=副詞、たくさんに、たいそう、こんなにも
かなしき(愛しき)=形容詞「かなし」の連体形。かわいい、いとおしい。係助詞「ぞ」があるため連体形となっている。係り結び。
多摩川でさらさらとさらす(洗う、日に干す)手織りの布のように、どうしてこの娘がこんなにもかわいいのだろう。