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源氏物語『桐壺』(4)現代語訳(光源氏の誕生)

「黒=原文」・「青=現代語訳」

解説・品詞分解はこちら源氏物語『桐壺』(4)解説・品詞分解


かしこき御蔭をば頼み聞えながら、おとしめ、きずを求めたまふ人は多く、

恐れ多い(桐壷帝の)庇護を頼みに思い申し上げているけれども、(桐壷の更衣を)さげすみ、欠点を探しなさる人は多く、


わが身はか弱く、ものはかなきありさまにて、なかなかなるもの思ひをぞしたまふ。

(桐壷の更衣)自身の体は弱々しく、なんとなく頼りないありさまで、かえって(帝のご寵愛をいただかない方が良いといった)思い悩みをしなさる。


御局(みつぼね)は桐壺(きりつぼ)なり。

(桐壷の更衣の)お部屋は桐壷である。


あまたの御方がたを過ぎさせたまひて、ひまなき御前渡りに、

多くの女御・更衣たちのお部屋を(桐壷帝が)通り過ぎなさって、(その)頻繁なお通いに、


人の御心を尽くしたまふも、げにことわりと見えたり。

他の女御・更衣たちが心をお悩ましになるのも、まことに当然のことだと思われる


まう上りたまふにも、あまりうちしきる折々は、

(桐壷の更衣が帝のところへ)参上なさる際にも、あまりにたび重なるなる時には


打橋(うちはし)、渡殿(わたどの)のここかしこの道に、あやしきわざをしつつ、

打橋や渡殿のあちらこちらの通り道に、けしからぬ仕業(泥や汚物をまき散らすようなこと)をしては、


御送り迎への人の衣の裾、堪へがたく、まさなき事もあり。

送り迎えをする人の着物の裾が、ひどく汚れ、良くないこともある。


またある時には、えさらぬ馬道(めどう)の戸をさしこめ、

またある時には、避けては通れない馬道の閉ざして閉じ込め、


こなたかなた心を合はせて、 はしたなめわづらはせたまふ時も多かり。

こちらとあちらで示し合わせて、はずかしめて困らせなさる時も多い。


事にふれて、数知らず苦しきことのみまされば、いといたう思ひわびたるを、

何かにつけて、数えきれないほどつらいことばかりが増えるので、たいそうひどく思い悩んでいるのを、


いとどあはれと御覧じて、

ますますかわいそうなこととお思いになって、


後涼殿(こうりょうでん)にもとよりさぶらひたまふ更衣の曹司(ぞうし)を他に移させ  たまひて、上局(うえつぼね)に賜(たま)はす。

後涼殿にもともと住んでおられた更衣の部屋を他へお移しになって、(桐壷の更衣の)上局としてお与えになる。


その恨み、ましてやらむかたなし。

(部屋を移された更衣の)その恨みは、いっそう晴らしようがない。

源氏物語『桐壺』(4)解説・品詞分解

源氏物語『桐壷』まとめ