更級日記『物語(源氏の五十余巻)』(2)解説・品詞分解

「黒=原文」・「赤=解説」「青=現代語訳」

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 はしるはしる  わづかにつつ、心も  心もとなく思ふ源氏を、

はしるはしる=副詞、①とびとびに(とぎれとぎれに)、②大急ぎで

わづかなり=形容動詞ナリ活用、数量が少ないさま、少し

つつ=接続助詞、①反復「~しては~」②継続「~し続けて」③並行「~しながら」④(和歌で)詠嘆、ここでは①反復の意味で使われているので訳す際に注意が必要、若干②継続の意味もあるかもしれないが、③の意味で訳してはならない。

得(え)=ア行下二段活用の動詞「得(う)」の未然形、ア行下二段活用の動詞は「得(う)」・「心得(こころう)」・「所得(ところう)」の3つしかないので、大学受験に向けて覚えておくとよい。

ず=打消の助動詞「ず」の連用形、接続は未然形

心もとなし=形容詞ク活用、待ち遠しくて心がいらだつ、じれったい

(今までは)とぎれとぎれに、少しだけ見ては、(物語の筋を)理解できず、じれったく思っていた源氏物語を、


一の巻より  て、人も交じらず、几帳の内にうち臥して、引き出でつつ見る心地、

より=格助詞、(起点)…から

し=サ変動詞「す」の連用形、代動詞であり、本来の動詞は「始む」と思われる。代動詞はその場面の文脈に応じて適切な動詞に変換して訳す。「いと雨して、」⇒「たいそう雨が降って、」

人も交じらず=ただ一人で、誰とも合わなかったということ

うち臥す=サ行四段、ちょっと横になる、寝転ぶ。「うち」は接頭語なので、訳す際にあまり気にしなくてもよい。

つつ=接続助詞、先程と同様に①反復「~しては~」の意味で使われている

一の巻から読み始めて、誰とも合わず、几帳の内に寝転んで、引き出しては読む心地は、


后(きさき)の位も何に  は    

か=疑問・反語の係助詞、結びは連体形

は=強調の係助詞。現代語でもそうだが、疑問文を強調していうと反語となる。「~か!(いや、そうじゃないだろう。)」なので、「~かは・~やは」とあれば反語の可能性が高い。

し=サ変動詞「す」の連体形

む=意志の助動詞「む」の連体形、接続は未然形。文末に来るときは㋜推量・㋑意志・㋕勧誘の3つのどれかの意味である

何にかはせむ=反語であり、直訳すると「何にしようか、いや、何にもならない。」だが、「もの数ではない。問題ではない」などと訳すと自然である。

后(皇后・天皇の妻)の位も(比較すると)もののかずではない(ほど楽しかった)。


昼はひぐらし、夜は目の覚めたる限り、灯を近くともして、これを見るよりほかのことなけれ  

ひぐらし(日暮らし)=名詞・副詞、一日を過ごすこと、一日中

たる=存続の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形

なけれ=ク活用の形容詞「なし」の已然形。

ば=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして①原因・理由「~なので、~から」の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。

昼は一日中、夜は目が覚めている限り、燈火を近くにともして、これを読むよりほかのことはしなかったので、


おのづからなどは、そらにおぼえ浮かぶを、いみじきことに思ふに、

おのづから=副詞、自然と、ひとりでに

そらに=ナリ活用の形容動詞「そらなり」の連用形、暗記して、空で覚えて

いみじ=形容詞シク活用、(いい意味でも悪い意味でも)程度がひどい、甚だしい、とても

自然と(物語の文章や人物を)覚えていて頭に浮かぶのを、素晴らしいことだと思っていると、



夢に、いと清げなる、黄なる地の袈裟(けさ)たるが来て、「法華経五の巻を、とく習へ」と言ふと見れど、

清げなり=形容動詞ナリ活用、さっぱりとしていて美しいさま

の=格助詞、用法は同格。「たいそうさっぱりとして美しい僧、」

袈裟=名詞、「けさ」という読みはテストによく出る。今でも寺の坊さんがつけている右肩にかけてつけるもの。エプロンの肩紐だけないみたいなやつ。

たる=存続の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形。連体形なのは直後に僧が省略されているため。「袈裟を着ている僧が来て」

とく(疾く)=副詞、早く

夢に、たいそうさっぱりとして美しい僧で、黄色の地の袈裟を着ている僧が出てきて、「法華経の五の巻を早く習いなさい。」と言うと見たが、


人にも語ら、習はとも思ひかけず、物語のことをのみ心にしめて、

ず=打消しの助動詞「ず」の連用形、接続は未然形

む=意志の助動詞「む」の終止形、接続は未然形。「習はむ。」と本来はなるので、この「む」は文末扱い。文末に来るときは㋜推量・㋑意志・㋕勧誘の3つのどれかの意味である

思ひかく(思ひ懸く)=カ行下二、心にかける、予測する

しむ(染む)=マ行下二、そめる、心に染まるほど深く思いこむ

人にも話さず、(法華経を)習おうとも心がけず、物語のことだけを深く心に思いこんで、


「われはこのごろわろき    かし。盛りになら  

わろし=形容詞ク活用、よくない、美しくない。「悪い」ではないことに注意。

ぞ=強調の係助詞

かし=念押しの終助詞、「~よ・~ね」

なら(成ら)=ラ行四段の動詞「成る」の未然形

ば=接続助詞、直前が未然形なので④仮定条件「もし~ならば」という意味になる。

私は今のところ器量(容貌)はよくないことだよ。(でも、)女としての盛りの年頃になったら、


かたちも限りなくよく、髪もいみじく長くなり  

かたち=名詞、姿、容貌、顔だち

いみじ=形容詞シク活用、(いい意味でも悪い意味でも)程度がひどい、甚だしい、とても

な=強意の助動詞「ぬ」の未然形、接続は連用形。「つ・ぬ」は「完了・強意」の二つの意味があるが、直後に推量系統の助動詞「む・べし・けむ・らむ」などが来るときには「強意」の意味となる

む=推量の助動詞「む」の終止形、接続は未然形。推量系統の助動詞があるため直前の「な」は「強意」である。

顔立ちこの上なくよく、きっと髪もたいそう長くなるだろう。


光の源氏の夕顔、宇治の大将の浮舟の女君のやうにこそあら。」

こそ=強調の係助詞、結びは已然形。係り結び

め=推量の助動詞「む」の已然形、接続は未然形。前の「こそ」を受けて已然形となっている。係り結び

光源氏の(愛した)夕顔、宇治の大将の(愛した)浮舟の女君のように(未来の自分は)あるだろう。」


と思ひける心、まづいとはかなく  あさまし

ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形

まづ=副詞、実に、なんといっても

はかなし=形容詞ク活用、はかない、頼りない、あてにならない

あさまし=形容詞シク活用、驚きあきれることだ、びっくりすることだ、浅はかだ

と思った心は、実にたいそうあてにならなくあきれることだ。

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更級日記『物語(源氏の五十余巻)』まとめ